
今日は朝から半端な雨。
うん、これくらいの雨ならまだ許せるな。
固い道路を叩く飛沫は好きじゃないけど、土にふる雨は嫌いじゃない。
音は聞こえないけど、たぶん、「さぁ〜」とか「ふぁ〜」とか?
葉モノの野菜がすくすく育ちそうなイメージじゃない?
「ざばざば」「シャバダバ」な雨よりよっぽどいい。
なにより傘を差さなくてすむしね。
傘を差すのが、とにかく苦手。
面倒くさい。
家を出る時、怪しい雲行きでも
天気予報で「午後には降りますよ〜」と宣言されても
根拠もないのに傘を置いていく。
べつにさ、「素敵な女の子が、合い合い傘をしてくれるかも?」とか、乙女的占いを信じているわけでないよ。
あいあいは、お猿さんだけで充分です
雨の日は、きまっていつも……

「あ〜自分の周りだけ、雨が届く前に蒸発するようなバリアがあったらなぁ」って、考える。
雨上がりの夜。

道の花壇の上に捨てられたビニール傘。

風で飛ばされたのか、それはみごとにビニールをはがされて、骨組みだけになった傘。
それを拾い上げ、ボタンを押すと

わっしゃん!!
勢いよく開いた。
「俺はまだやれるぜ!」みたいに。
おお…なんか、いいぞ。

ボクはウキウキ、その傘を差しながら夜の街を歩く。

道行く人は、時に訝しげに、時に笑いながら通り過ぎる。
「あの人、骨だけの傘を差して歩いているよ」みたいにさ。
みんな、わかってないんだなぁ。
この傘は、雨は通しちゃうかもしれないけど、宇宙から降ってくる星の秘密の力を受信しているのだよ。

金星人は、みんな持ってる。

火星人は、セレブだけもってる。

地球人は、ボクだけ持っているのだ。
なんだかさらに気分がよくなって、鼻唄をうたいながら四条通りを歩く
遅くまで開いてる本屋に到着。
傘立てにその傘おいて、「いい本ないかな?」ツラツラしてたら……。

傘が、ない。
……奴らめぇ。
雨上がりの夜に
骨だけの傘をさしてる人をみかけたら

たぶんそいつは、火星人だから!