ステージタイガーへ

'19年 0222

プロフェッショナル仕事の流儀(虎本)

お久しぶりです。虎本です。
昨日(2/21)にとあるレスラーが引退試合を行いました。




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新日本プロレス、飯塚高史選手です。
1986年デビューの52歳。

スキンヘッドに長いヒゲ。
一言も喋らず、うめき声を上げて暴れ回るスタイル。
得意技は噛み付き攻撃(反則)と鉄の爪を装着しての地獄突き『アイアンフィンガーフロムヘル』(もちろん反則)
客席を暴れながら入場し、「怨念坊主」「狂乱坊主」などと呼ばれる選手です。

その選手が引退試合を迎えました。


僕のような往年のファンは期待していました。

最後に一度だけ
『昔の飯塚』に戻って欲しいと。


元々飯塚選手は、正当派レスラー。
真面目で、やや地味な印象がありました。
グラウンド(寝技)が強く、ロシアでサンボを学び、
道場で若手の指導にも当たる、良心的な選手でした。


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見た目も、精悍。
今の時代ならばプ女子の黄色い声援を浴びていた事でしょう。

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もっと昔にはJ•J•JACKS というタッグチームでアイドル的な売り出し方もされ、武藤•蝶野•橋本の闘魂三銃士の次代の選手として期待されていました。
(当時のリングネームは飯塚孝之)


現在はその面影は全く無く、当時の技も完全封印。
そのまま引退してしまうのか…最後に、マイクで挨拶はあるのか…果たして…

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6314756

yahooニュースにもなりました。


元タッグパートナーの天山選手の訴えが功を奏し
飯塚選手は、試合中、少しだけ昔の技を解禁。
『飯塚が元に戻った!』と客席が総立ちになるものの、結局はアイアンフィンガーを装着して攻撃。
うなり声をあげて観客席を練り歩きながら退場。
そのままゴングが10回叩かれ(これがプロレスの引退の様式なのです)、一言もコメントを出さぬまま引退されました。

観客席からは飯塚への愛と、再登場を願っての大「飯塚コール」。
照明が付いても、誰も立ち上がらず、帰ろうとしません。
観客は期待しています。飯塚選手が着替えて、昔の姿に戻ってマイクを握ってくれる事を。


飯塚コールが続く中、5分経ち…10分経ち…。


結局、飯塚選手は出てきませんでした。
少しずつそれに気付いた観客が一人立ち去り、2人立ち去り…。
フェードアウトしていく飯塚コール。

飯塚選手は、ファンにサービすることなく、懐古することもなく、今の飯塚選手のまま去りました。
飯塚選手の美学を観ました。



エンターテイメント化した昨今のプロレスでは、『ヒールレスラー』という言葉が出ます。
いうなれば『悪役レスラー』。
しかし『悪役』とは何か…。『役』というからには、レスラーは演じているのか?
プロレスは演技なのか。
「いや、違う。虚も実もない。そこに見えているものが真実なんだ」というメッセージを僕は感じました。
昭和から続く、ストロングスタイルを継承する新日本プロレスの魂を観ました。


後楽園ホールの大飯塚コールは、きっと控え室に戻った飯塚選手にも聞こえていたはず。
僕は想像する。それを聞いて涙する姿を。

お疲れさまでした。
僕は橋本小川抗争時代に、村上をスリーパーで締め落としたあなたの姿に興奮しました。
決め台詞もないあなたの去り際にプロフェッショナルを観ました。

虎本剛

posted by ステージタイガー at 06:38 | Comment(0) | 虎本「プロレススーパースター列伝」
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